今年の春に職場が変わったのですが、5月くらいから眼にアレルギー症状が出るようになってしまい、いろいろ調べていたら住宅と子供のアレルギー症状の関連性を調査した論文が見つかり、結構面白かったので紹介します。

吉野ら(2014) 児童のアレルギー性症状と居住環境要因との関連性に関する調査研究 、日本建築学会環境系論文集

内容は、2000人近い児童とその居住環境の調査を行なったものです。ただアンケート調査は2010までに行われているのでちょっと古いデータになります。

◎RC住宅でアレルギー性疾患が多い
RC住宅と言っても多分古いマンションが多いと思いますが、結露などによるカビの増加が原因ではないかとのことです。窓やサッシに結露していても明確な影響は見られないけど、2室以上(おそらくは1室は玄関のドア)で壁などに結露が起こる家だと、はっきりとアレルギーとの関連が出ています。
そういえばRCの団地に住んでた人が、壁が結露して大変だったみたいなことを言ってました。壁が結露って木造住宅では普通ないですからね。住宅の湿度とアレルギー疾患に関連があるというのは海外では一般的だそうです。

◎ビニールクロスが使用された住宅でアレルギー性疾患が少ない
これは結構驚きだったのですが、むしろ自然素材の家でアレルギーが多いそうです。著者は接着剤などが使われておらず、カビが増殖しやすいのではないかと考察してます。確かに自然素材の方がカビにも優しそうですね。考えてみれば昔の家って風通しが良すぎて冬は寒くて大変ですが、そういう環境ならカビは増殖しなさそう。むしろ現代の家で自然素材だと冬も暖かくて1年中増殖できそうです。
うちの場合だと、畳が4畳ほどありますが、今年のどんよりした夏には、表面はなんともなくてもサイドに結構カビが生えてました。昔の家なら畳の下は風通し良くなってるけど今は密閉されてるから多少は仕方ないのでしょう。畳は現代の家には向かないのかもしれません(論文中では畳はアレルギーとの関連なしです)。

◎加湿器の使用でアレルギー性疾患が多い
これは湿度との関連です。気密性の高い暖かい家で冬に加湿器を使えばカビは増殖しやすくなるのかもしれません。かと言って乾燥していると風邪を引きやすいと言われていますが。気化式の加湿機だとあまり湿度は上がらないので良いかも。

加えて考えたのですが、観葉植物の害虫に関してもカビと同様のことが言えそうです。つまり、冬が暖かければ当然害虫も増えるということです。実はいくつかの観葉植物はカイガラムシの発生が凄くて大変でした(現在は外に出して定期的に農薬かけています)。ちょっと調べてみたらカイガラムシの増加率は、16℃で0.33、24℃で1.1くらい。8℃で3倍以上の差が!障害がなければ個体数は指数関数的に増えるので、3倍の差は物凄いことです。今度から害虫の出る観葉植物は寒い玄関に置こうと思います。